セリアック病と妊娠・出産リスク
ホーセンス・リージョナル病院などデンマークの研究チームは、「Human Reproduction」にて、セリアック病の女性が妊娠した場合、流産、死産のリスクが高まると発表した。
セリアック病の発症から5年以上、医師による診断がなく、食事療法など適切な治療をしていない場合、妊娠・出産リスクが15%増になると報告されている。
セリアック病とは
セリアック病とは、小麦、ライ麦、大麦などの穀物類に含まれるグルテンに対して異常な免疫反応が生じ、自分自身の小腸粘膜を誤って攻撃してしまう自己免疫疾患である。異常な免疫反応により小腸は障害を受け、栄養の吸収が妨げられ、腹痛や下痢などの症状が現れる。
パンやパスタを主食にする欧米諸国とは異なり、これまで日本では非常に稀な疾患であった。しかしながら、近年、パンやパスタなど食生活の変化により、日本におけるセリアック病の罹患率が増加すると示唆されている。また、過敏性腸症候群にセリアック病が隠れている可能性も指摘されている。
セリアック病が妊娠・出産に与える影響
研究チームは、セリアック病と診断された女性6319人を対象に、セリアック病が妊娠・出産に与える影響を検証した。
妊娠成立前にセリアック病と診断され、グルテン除去食を摂取していた女性における流産率、死産率、妊娠合併症の発症率は、セリアック病でない女性と大差なかった。また、妊娠中、出産前にセリアック病の症状が進行した女性は、症状が進行していない女性と比べ、流産率は12%増、死産が62%増になることが認められた。
論文主著者であり、ホーセンス・リージョナル病院の(Louise Grode)氏は、流産、死産の原因が不明である場合、セリアック病が要因である可能性があると示唆している。
(画像はPixabayより)
WSAU
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