自己免疫疾患が妊娠に与える影響
3月5日、バーミンガム大学(イギリス)の研究チームは、「BMC Medicine」にて、自己免疫疾患に罹患している女性は、有害な妊娠転帰リスクが大幅に増すと発表した。
自己免疫疾患と有害な妊娠転帰における関係性
妊娠適齢期の女性において、自己免疫疾患の有病率は高い。
そこで今回、研究チームは文献データベース「Medline」「Embase」 「Cochrane」(2023年12月まで)を用いてスクリーニング、データ抽出、AMSTAR 2による質評価を行い、自己免疫疾患と有害な妊娠転帰における関係性を検証した。
研究論文32文献(自己免疫疾患に関する文献12件、有害な妊娠転帰に関する文献16件を含む)を分析したところ、シェーグレン症候群や全身性エリテマトーデスに罹患した女性では流産リスクの増加が認められた。
1型糖尿病や全身性エリテマトーデスでは子癇前症(妊娠高血圧腎症)リスクが高まり、早産と関連性があると報告された。1型糖尿病の場合、死産リスクや在胎不当過小児(在胎数週に対して小さい)リスクが増加するという。
また、過敏性腸炎では妊娠糖尿病リスク、全身性強皮症やセリアック病では子宮内発育不全(子宮内胎児発育遅延)リスクが上昇すると報告された。
これより、自己免疫疾患は妊娠に影響を及ぼし、有害な妊娠転帰リスクが大きくなるといえる。なお、自己免疫疾患による有害な妊娠転帰を軽減するには更なる研究が必要とされる。
(画像はBMC Medicineより)
BMC Medicine
https://bmcmedicine.biomedcentral.com/