母親の糖尿病が子供に与える影響
4月8日、香港大学(中国)など国際的な研究チームは、「nature medicine」にて、母親の糖尿病と子供の注意欠如多動症(ADHD)において関連性があると発表した。
一方、妊娠糖尿病と子供のADHDにおける関連性は低いという。また、出生前糖尿病曝露が一致していない兄弟姉妹であっても同様のADHDリスクを有しており、未測定の遺伝的要因や家族的要因も影響する可能性を示唆する。
母親の糖尿病と子供の注意欠如多動症における関係性
近年、出産年齢の上昇に伴い、妊娠糖尿病の有病率は世界的に増加傾向にあるといわれる。これまで、先行研究では、母親の糖尿病と子供のADHDにおける関連性が報告されている。
そこで今回、研究チームは、2001年から2014年の期間、香港、ニュージーランド、台湾、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、スウェーデンにて母子360万組人以上を対象とした多国間コホート研究を行い、2020年まで追跡調査を継続した。
母親の糖尿病と子供のADHDにおける関係性を検証したところ、母親が糖尿病、妊娠糖尿病、疾患や治療薬の影響による糖尿病を発症した場合、その子供は、糖尿病を発症していない母親の子供に比べてADHD発症リスクが高くなった。
また、糖尿病合併妊娠(糖尿病の女性が妊娠した状態)および妊娠糖尿病(妊娠中の軽い糖代謝異常)は、子供のADHDリスクと関連性が認められた。しかしながら、出生前糖尿病曝露が一致していない兄弟姉妹であっても同様のADHDリスクを有していた。
それゆえ、子供のADHDには未測定の遺伝的要因や家族的要因も影響する可能性があり、妊娠糖尿病と子供のADHDにおける関連性は低いという。
(画像はnature medicineより)

nature medicine
https://www.nature.com/articles/s41591-024-02917-8