妊娠中のストレスレベル指標
1月31日、ワシントン州立大学の研究チームは、プレスリリースにて、妊娠前のコルチゾール値と出産合併症において潜在的な関連性があり、妊娠前にコルチゾールが高い場合、出産合併症リスクが増すと発表した。
今回、妊婦の毛髪に含まれるコルチゾールを測定することで妊娠中のストレスレベルが分かり、非侵襲的に出産合併症リスクを予測できると示された。
なお、研究論文は「Psychoneuroendocrinology」に掲載されている。
妊娠前のコルチゾール値と出産合併症における潜在的な関連性
コルチゾールは副腎皮質ホルモンの一種であり、ストレスに反応して分泌される。特に、毛毛髪コルチゾール濃度は過去3ヶ月間における体内のストレスホルモン循環レベルを示し、ストレスを評価する指標として用いられる。
今回、妊娠後期の女性53人を対象に心理的苦痛や精神的ストレスに関するアンケート調査を行い、妊娠後期および出産後に毛髪コルチゾール濃度を測定したところ、早産や大量出血など妊娠合併症を経験した女性において毛髪コルチゾール濃度の上昇が認められた。
コルチゾール値は妊娠の進行に伴い、非妊娠時と比べて2倍から4倍に上昇する。妊娠後期にピークに達するが、出産合併症を経験した女性ではコルチゾール値がさらに顕著に上昇していると報告された。妊娠中のコルチゾール値の上昇によって出産合併症リスクが高まるといえる。
今後、大規模グループを対象とした研究の必要性はあるものの、妊婦の毛髪コルチゾール濃度から妊娠中のストレスレベルを評価することにより、非侵襲的な方法で出産合併症リスクを予測できると示唆される。
(画像はプレスリリースより)
WASHINGTON STATE UNIVERSITY
https://news.wsu.edu/