重い腰をやっと上げた国
2013年1月12日に、民間団体「卵子提供登録支援団体」(OD―NET、事務局・神戸市)が、卵子を提供してくれる女性を募集する事業を始めると発表しましたが、これを受け、田村厚生労働大臣は、生殖医療の実態調査を実施する意向を記者会見で示しました。
日本では、姉妹や知人以外の第三者から卵子や精子の提供などの生殖補助医療は一部は容認されているものの、法整備はなされておらず、いわば宙ぶらりんな状態。
過去に法整備を行う動きはありましたが、様々な意見があったことから、その後止まったままになっています。
そのため、日本で卵子提供を受ける事を諦め、海外で提供を受ける女性が増えている状態になっています。
(この画像はイメージです)
高いリスクがあることを知っておくべき
今回、田村厚生労働大臣が改めて議論を開始する意向を示したのは、過去に法整備をすることなく止まってしまった議論を進める大きな一歩となるでしょう。
卵子提供による妊娠には、早産や大量出血のおそれがある「癒着胎盤」、妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病など高いリスクが伴うことが分かっており、妊娠期間から出産までしっかりと管理する必要があるとも言われています。
一方、海外で卵子提供を受けた場合、日本で認められていないことから、この事実を伝えることができないまま医療機関にかかり、危険な出産に臨んでしまう方もいるかも知れません。
法整備さえ進めば、このような危険も防ぐことができるはず。非常に難しい問題ではありますが、今の宙ぶらりんな状態を何とかしなければならないのは明白なこと。議論だけでなく、実際に悩む人の思いを踏まえた内容で法整備を進めて欲しいですね。

厚生労働省:田村大臣閣議後記者会見概要
http://www.mhlw.go.jp/stf/kaiken/「精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療制度の整備に関する報告書」について
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2003/04/s0428-5.html