初めて20万件台まで減少
1950年代人工妊娠中絶をした人は年間100万件を超えていた。だが、昨年度その中絶数は20万件台まで減ったと、厚生労働省の「衛生行政報告例の概要」は発表した。昨年度の人工妊娠中絶数は20万2106件。年齢別に中絶件数を見てみよう。
20-24歳 4万4087件
25-29歳 4万2708件
30-34歳 3万9917件
35-39歳 3万7648件
20歳未満でみると、「19歳」が7,257件と最も多く、その次が「18歳」が5,264件となっている。年齢層が若いほど、中絶をしている件数が多いことが分かる。
年度別に見る総人工中絶件数
平成19年度 256,672件
平成20年度 242,326件
平成21年度 226,878件
平成22年度 212,694件
平成23年度 202,106件
※平成22年度は、東日本大震災の影響により福島県の相双保健福祉事務所管轄内の市町村が含まれていない。
平成19年度から昨年度では、年を追うごとに約1万から1万5千件ずつ総中絶件数は減っている。
スイスに習う中絶率の少なさ
人工妊娠中絶数が減少したということは、日本で望まない妊娠が減少したということになる。中絶率が世界と比べて低いスイスでは、ほとんどの公立学校で性教育を徹底して行っている。教師だけでなく、外部の専門家も協力し、教育内容も濃い。
スイスの性生活に関する専門家は、「 性教育、避妊、社会・経済的レベルの3つが妊娠のコントロールの高さに反映している。」と語る。妊娠可能時期に達した女性は 産婦人科で、避妊方法などの相談をすることが一般的だという。
日本もスイスに続き、性教育の強化、気軽に相談できる場所を多く提供することで、中絶数もより減るのではないだろうか。

厚生労働省 平成23年度衛生行政報告例の概況
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/母体保護の関係
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/中絶率が低いスイス
http://www.swissinfo.ch/jpn/detail/