肥満は不妊につながるけれど………
女性の肥満が不妊につながるという説は、多くの人たちの間で知られるようになりました。このため、私たちは「体重が減れば妊娠率がアップする」と考えがちです。けれども、体重を減らしたからといって妊娠率が上がるわけではないという報告が出ました。
肥満は不妊になるのに、肥満を解消しても不妊が解消されないとなると、ちょっと混乱しますが、専門家によると「減量すると、女性ホルモンなど生殖機能の働きが改善される。ただし、これは直接減量イコール妊娠率のアップではない」ということです。
肥満治療の手術を受けた女性を調査
この研究では病的なレベルで肥満とされ、肥満治療のRoux en Yと言う手術を2年以内に受けた女性29人を観察しました。この手術は、胃から、一部の食べ物が小腸の半ばあたりに流れ込むような「バイパス」を作る手術のことです。これによって、胃から小腸の上の方で栄養が吸収されることを物理的に防ぐのです。
短い期間で排卵するように
対象となった女性たちの排卵やその周期を尿検査で把握したそうです。すると、排卵率が劇的に改善していたのだそうです。また、生理が始まってから次の排卵までの日数も短くなっていました。肥満には、この期間を長くしてしまうという影響があると言われていますが、肥満を解消すると短い時間で排卵させることができるようになるのです。ただしこのメカニズムはまだ明らかになっていないそうです。
性欲も高まるので妊活チャンスがアップ
また、病的な肥満を解消すると、性欲が高まることも分りました。体重が減ることで、排卵が頻繁に行われ、性欲が高まることでパートナーとの親密な時間も増えることで、結果的に妊娠に至る女性の数も増えるのではないか、と考えられています。
つまり体重が減ると、妊娠率ではなく、妊活チャンスがアップするということになりそうです。

Penstate Live ; Weight loss does not improve fertility
http://live.psu.edu/story/62074