ホルモンバランスの変化が病気の悪化を
10月3日に学会誌に発表された調査によると、不妊治療が多発性硬化症という病気の悪化を招くとされました。これは、不妊治療によってホルモンバランスが変化することが原因であるとされています。
多発性硬化症は男性よりも女性に多いとされており、日本国内では12000人ほどの患者さんがいます。脳や脊髄などの神経の信号伝達がうまく行われなくなる病気で、運動麻痺や、視力障害などが症状としてみられます。
これは、アルゼンチンの医師などが行った調査で、16人の多発性硬化症の女性の不妊治療について、観察したものです。比較には多発性硬化症にかかっておらず、不妊治療を受けている15人の女性のデータが用いられました。
不妊治療を受けた75%で症状の悪化
その結果、多発性硬化症にかかっている女性の4分の3で、不妊治療による症状の悪化が見られてしまいました。直接の原因では排卵誘発剤の影響で、炎症(誘発)性サイトカインという物質の分泌が増えることであると見られています。また、血液の中の細胞にも影響が及びます。
多発性硬化症の女性は、こうしたリスクをしっかりと理解して、不妊治療について専門家に相談することが必要とのことです。

Annals of Neurology ; Increase in multiple sclerosis activity after assisted reproduction technology
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/ana.23745/fullWikipedia ; 多発性硬化症
http://ja.wikipedia.org/wiki/多発性硬化症