妊婦・胎児に与える影響
精神医学に関する研究結果をまとめた雑誌「Archives of General Psychiatry」の7月号にて発表されたところによると、スウェーデンで行われた調査によって、妊娠中の抗精神病薬の使用は、妊娠糖尿病にかかるリスクを増加させるということが明らかになりました。
統合失調症や躁うつ病などの精神病を持っている場合、定期的な抗精神病薬の服用が必要となります。今回の調査では、そのような抗精神病薬が妊婦と胎児にどのように影響を与えるのかという点が調べられました。
調査の内容は?
この調査は、スウェーデンの国民健康記録に基づいて行われました。調査の対象となったのは、2005年7月~2009年12月にスウェーデンで出産をした女性たちです。女性たちは、下記の3つのグループに振り分けられました。
1:抗精神病薬「オランザピン」「クロザピン」の両方またはどちらかを妊娠中に服用(169人)
2:その他の抗精神病薬を妊娠中に服用(338人)
3:妊娠中の抗精神病薬の服用はなし(357,696人)
すると、女性全体における妊娠糖尿病にかかった女性の割合が1.7%だったのに対し、グループ1では妊娠糖尿病の割合が4.1%、グループ2では4.4%と2倍以上の発症率が見られたのです。
また、妊娠中に抗精神病薬「オランザピン」「クロザピン」を服用することで、産まれてきた赤ちゃんの頭囲が妊娠期間に基づく平均よりも大きくなっているということも判明しました。
妊娠前にしっかりと治療を
この調査結果は、次のように結論付けられています。
各医療機関は、抗精神病薬を服用している妊婦に対しては、妊娠糖尿病と胎児の成長度合いに注意を払う必要がある。
抗精神病薬と妊娠糖尿病の間にこんなつながりがあったとは、驚きです。精神病を持っている場合は、まずは妊娠する前にしっかりと治療しておくことが大切ですね。

Antipsychotics During Pregnancy Relation to Fetal and Maternal Metabolic Effects
http://archpsyc.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1211979