妊娠しなかった人でリスク低下
不妊治療薬を用いた女性で、妊娠をした人は、薬を用いなかった人より乳がんになる確率が高くなる報告、治療しても妊娠しなかった人は、薬を用いなかった人より乳がんになる確率が低くなるという同時報告が、米国国立癌研究所の学術誌に発表されました。
今回発表された研究では、50歳以下の女性で、乳がんと診断され、なおかつ乳がんにかかっていない姉妹がいる人を対象としました。姉妹の情報を考慮したのは、遺伝的な要素について、公平な判断を下すためです。そして、不妊治療の一環として排卵誘発剤を使ったことがあるかどうかを調べました。
妊娠した場合、自然妊娠の方がリスクが低い
自然妊娠をした人の方が、排卵誘発剤を使用した人よりも乳がんのリスクが低いことが分かりました。また、排卵誘発剤を用いても、妊娠しなかった女性では、薬の使用がない女性よりも乳がんのリスクが低くなっていました。
エストロゲンと乳がんの関連性、今後も追跡調査要
排卵誘発剤は、一時的にエストロゲンというホルモンのレベルを高める働きがあります。このエストロゲンは、乳がんと関係があることが知られています。今回の研究を含め、いくつかの研究では、排卵誘発剤を使っての妊娠では乳がんのリスクが高くなるとしていますが、この結果に至っていない研究も多く、その判断はとても微妙で、決定的な結論には至っていません。
一方、妊娠しなかった人に対してのリスク低下に関しては、これまであまり言われることがありませんでしたが、今後更に調査をして、どのような条件が乳がんのリスクを低くするかを確認する必要があるとされています。

National Cancer Institute ; Fertility Drugs and Young-Onset Breast Cancer: Results From the Two Sister Study
http://jnci.oxfordjournals.org/content/early/2012/07/06/