数えるほどしかない健康な卵子
アメリカ・イェール大学生殖センターのPasquale Patrizio氏と、イギリス・オックスフォード大学のDagan Wells氏による研究によって、体外受精において健康な卵子を判別するための新たな方法が発見されました。
体外受精においては、健康な卵子を判別することがとても重要になってきます。女性の年齢が上がるにつれて、染色体異常の卵子も増加してしまいます。そのため、1回の体外受精サイクルで成功の可能性を持つ卵子は数えるほどしかないと言われています。
卵丘細胞の遺伝子をチェック
卵子を覆っている細胞は「卵丘細胞」と呼ばれ、卵子の発達・成長を司っています。今回の調査では、研究者たちはこの卵丘細胞の中の遺伝子の分析を行いました。
そして、染色体異常の卵子において、「SPSB2」と「TP5313」という遺伝子のセットが一貫して不活性であるということを発見しました。これらの遺伝子は、健康な卵子においては活性であったのです。
Pasquale Patrizio氏は、次のように語っています。
これからは卵丘細胞を調べるだけで、その卵子が健康かどうかをはっきりと判別することができる。これは安全で、効率がよく、低コストな方法だ。きっと、体外受精の成功率を格段に上げることができるだろう。
成功率アップに期待!
現在の体外受精の成功率は、日本産科婦人科学会によると25%程度とのこと。この新たな判別方法によって今後どれぐらい成功率が上がるか、興味深いところですね。
今回の研究については、Oxford Journals Human Reproduction5月号にて発表されています。

Alteration of gene expression in human cumulus cells as a potential indicator of oocyte aneuploidy
http://humrep.oxfordjournals.org/content/