不妊治療と卵巣癌リスク
オランダの研究チームは、「THE JOURNAL OF THE NATIONAL CANCER INSTITUTE」にて、体外受精をはじめ、生殖補助医療(ART)によって卵巣癌リスクが高まることはないと発表した。
統計学的に、未経産の女性は、卵巣癌リスクが2倍増加するといわれる。一方、経産の女性では、一般人口と比べて、卵巣癌リスクが増加することはないという。
生殖補助医療と卵巣腫瘍における関係性
研究チームは、「the Netherlands Cancer Registry」「the Dutch Pathology Registry」(2018年7月データまで対象)を用いて、1983年から2000年の期間にて生殖補助医療による卵巣刺激を受けた不妊女性30625人、同時期に生殖補助医療を受けなかった不妊女性9988人を対象に、生殖補助医療と卵巣腫瘍における関係性を検証した。
24年以上に亘る追跡調査の結果、被験者のうち158人には浸潤性(癌性)卵巣腫瘍が進行し、100人には境界性(非浸潤性・非癌性)卵巣腫瘍が認められた。
生殖補助医療を受けた不妊女性群の卵巣癌リスクは、生殖補助医療を受けなかった不妊女性群より高いリスクはなかった。また、一般人口と比べて、両群共に卵巣癌リスクは増加した。
出産未経験者は、乳癌、子宮内膜癌、卵巣癌など深刻な癌リスクの危険因子が増すといわれるゆえ、研究チームは、生殖補助医療を受けた不妊女性群、生殖補助医療を受けなかった不妊女性群における卵巣癌リスクの増加要因として、生殖補助医療と出産の未経験を挙げる。
今回、生殖補助医療と卵巣癌に因果関係は認められず、卵巣刺激によって卵巣癌リスクが増加することはないと結論付けている。
(画像はOXFORD ACADEMICより)

THE JOURNAL OF THE NATIONAL CANCER INSTITUTE
https://academic.oup.com/Cancer Health
https://www.cancerhealth.com/