親から子へ伝播
テキサス大学南西医療センターの研究チームは、「The Pediatric Infectious Disease Journal」にて、新型コロナウイルス感染症(COVID‐19)の原因ウイルス「SARS-CoV-2」が垂直感染・垂直伝播(親から子へ伝播)すると発表した。
つまり、「SARS-CoV-2」は母から子へうつり、妊娠中の母親が感染することによって子宮内の胎児もウイルスに感染する可能性があると報告された。
母親の子宮内で感染する可能性
当初、中国の研究チームが発表した論文内では、新型コロナウイルス感染症に感染した母親の羊水、臍帯血、母乳内に「SARS-CoV-2」は検出されず、新型コロナウイルス感染症の垂直感染・垂直伝播の可能性は低いとされていた。しかしながら、その後、世界中の研究者らが研究を重ね、妊娠中の垂直感染・垂直伝播が確認された。
今回、妊娠34週目の妊婦が早産の兆候が現れ、パークランド病院を受診した。女性は発熱と下痢はあったものの、典型的な症状はなく、受診時に新型コロナウイルス陽性反応となり、初めて感染が確認された。感染経路は不明であり、新型コロナウイルス感染を理由に入院となった。
入院から3日後に破水し、破水から8時間後に健康な女児を出産した。女児は、新型コロナウイルス感染症に感染した母親から早産で生まれ、出生から約1日後に発熱し、異常に高い呼吸数、血中酸素レベルの低下を含む呼吸困難の兆候が見られた。新型コロナウイルス陽性反応は、出生1日目から2日目の間に確認された。
現在、母子ともに治療を受け、回復に向かっているという。研究チームは、胎児に炎症およびストレスを受けた証拠が認められ、新型コロナウイルス感染症の垂直感染・垂直伝播におけるメカニズム・タイミングを解明する鍵になると考える。
(画像はUT Southwestern Medical Centerより)

UT Southwestern Medical Center
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