妊娠前の血中グルコースによる影響
トロント大学(カナダ)の研究チームは、「PLOS Medicine」にて、妊娠前のヘモグロビンA1c(HbA1c:血中グルコース(ブドウ糖)濃度)上昇は、妊娠における異常の増加と関連性があると発表した。
糖尿病・肥満は、妊娠中の異常と関連性があるといわれる。今回、妊娠前に血中グルコース濃度が上昇した、つまり血糖値が高い場合、糖尿病と診断されていない女性であっても、妊娠中に異常が生じるリスク(先天性異常、早産、子癇前症など)が高まると報告された。
妊娠前のヘモグロビンA1cと母体罹病率・重度母体罹病率における関係性
研究チームは、 2007年から2015年に掛けてオンタリオ州で実施された調査より女性31225人(16~50歳)を対象に、妊娠前のヘモグロビンA1cと母体罹病率・重度母体罹病率における関係性を検証した。
調査対象の女性は妊娠前の90日以内にヘモグロビンA1cを測定し、病院での出産あるいは死産を経験している。また、うち28075人 (90%)は糖尿病と診断されていなかった。
調査結果より、妊娠23週から産後6週までの重度母体罹病あるいは死亡リスクは2.2%となり、ヘモグロビンA1cが0.5%増加するごとにリスクは高まった。調査対象の女性の大半は検査を受けたことがなく、自己のヘモグロビンA1c値とBMI値を知らないが、研究チームはヘモグロビンA1c、BMI、母体罹病リスクには関連性があると指摘する。
今後、ヘモグロビンA1c、BMI、母体罹病リスクにおける関連性を更に検証する必要があると考える。
(画像はPLOS Medicineより)

PLOS Medicine
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