妊娠前の食事内容が妊娠・出産に与える影響
クイーンズランド大学(オーストラリア)の研究チームは、「American Journal of Clinical Nutrition」にて、妊娠前に伝統野菜・地方野菜を多く摂取した女性は、早産リスクが軽減すると発表した。
早産は、妊娠37週未満の出産と定義される。早産児は、成人後に代謝異常および慢性疾患の発症リスク、認知発達・学力の低下リスクが大きくなる。
今回の研究では、伝統野菜が、早産など好ましくない妊娠結果になるリスクを顕著に軽減するうえで重要な役割を担うことが認められた。伝統野菜とは、各地で古くから栽培・利用されてきた野菜の在来品種であり、抗酸化・抗炎症作用を有する栄養素が豊富に含まれる。
妊娠前の食事にて伝統野菜を摂取する重要性
研究チームは、大規模な人口ベースの研究「Australian Longitudinal Study on Women’s Health」(女性57000人以上を対象に調査進行中)の一貫として、妊娠前の食事内容が妊娠・出産に与える影響を検証した。
約3500人の女性を対象に妊娠前の食事内容を分析したところ、妊娠前の食事を通してニンジン・カリフラワー・ブロッコリー・カボチャ・キャベツ・サヤインゲン・ジャガイモを豊富に摂取していた女性は、早産リスクが軽減し、満期に達するまで妊娠が継続して満期出産(満期分娩)になった。
胎盤および胎児組織の成長・発達において、妊娠前の身体に貯蔵した特定の栄養素(カルシウム・鉄など)は非常に重要になる。また、胎児は、妊娠初期の終わりまでに完全に形成される。それゆえ、母親が、妊娠判明をキッカケに、栄養バランスが良い健康的な食事内容に改善するのでは遅すぎる。
(画像はTHE UNIVERSITY OF QUEENSLANDより)

THE UNIVERSITY OF QUEENSLAND
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