妊娠中の抗精神病薬の服用に対する不安
3月18日、ニューサウスウェールズ大学(シドニー)の研究チームは、プレスリリースにて、妊娠中の抗精神病薬の服用は、子どもの神経発達症や学習障害と関連性はないと発表した。
なお、研究論文は「eClinicalMedicine」に掲載されている。
妊娠中の抗精神病薬の服用が胎児に与える影響
統合失調症や双極性障害の治療を目的とした抗精神病薬は、脳内ドーパミンの過剰状態を正常化させ、幻覚や妄想などの精神病症状を軽減させる。それゆえ、不安、鬱病、自閉スペクトラム症、不眠症などの精神症状や発達障害にも広く用いられる。
妊娠中は、特にメンタルヘルスが重要になるものの、多くの女性は、抗精神病薬の服用が胎児に与える潜在的な影響を懸念する。そこで今回、研究チームは、デンマーク、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、スウェーデンの出生データを用いて、妊娠中の抗精神病薬の服用が胎児に与える影響を検証した。
子宮内にて抗精神病薬に晒された子どもを対象に神経発達症ならびに学習障害リスクを長期的に調査したところ、出生前の抗精神病薬曝露と子どもの神経発達症ならびに学習障害リスクにおいて関連性がないことが認められた。
妊娠中の抗精神病薬の服用により、子どもの知的障害、算数障害、学習障害、言語障害を引き起こすリスクは増加しないという。
(画像はプレスリリースより)

UNSW SYDNEY
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