修正自然周期の凍結融解胚盤胞移植における留意点
8月26日、コペンハーゲン大学、コペンハーゲン大学病院(デンマーク)の研究チームは、「Human Reproduction」にて、修正自然周期の凍結融解胚盤胞移植(mNC-FET)における黄体補充(LPS)には身体的な副作用を伴い、投与前に考慮する必要性を強調した。
修正自然周期(ホルモン補充周期)の凍結融解胚盤胞移植では、黄体ホルモンを補充して受精卵が着床しやすいように子宮内膜環境を整え、凍結している胚の培養日と黄体期の日数を合わせて胚移植を実施する。
修正自然周期の凍結融解胚盤胞移植における身体的および心理的な健康状態
今回の研究は、プロゲステロン補充による修正自然周期における凍結融解胚盤胞移植の出生率に関するランダム化比較試験のサブスタディとなる。
ランダム化比較試験は2019年からデンマークの不妊治療クリニック8機関にて実施され、サブスタディは身体的および心理的な健康状態に関するアンケート調査に基づく。
なお、アンケート調査は、不妊治療を受ける女性286人(プロゲステロン補充あり143人、プロゲステロン補充なし143人)を対象に周期2日目から5日目、胚盤胞移植後の2回実施された。
プロゲステロン補充ありグループ(アンケート回答時点で7日間のプロゲステロン投与)では、補充なしグループと比べて膣のかゆみ、刺激や熱感など身体的な不快感が強いことが認められた。一方、心理的な悪影響はなく、両グループの心理的な健康状態に相違はなかったという。
また、プロゲステロン補充ありグループにおいて、プロゲステロン補充に伴う「落ち込んで憂鬱な気持ち」を比較したところ、胚盤胞移植後は軽減される傾向が確認された。
今回の研究結果は、これまで報告されているプロゲステロン補充に伴う副作用と一致しており、研究チームは、今後、プロゲステロン補充に際して身体的副作用を考慮する必要があると考える。
(画像はHuman Reproductionより)
Human Reproduction
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