精子の形態的性質や精子機能の検証
今月5日、Centre for Genomic Regulation(CRG)とEuginの共同研究チームは、第33回欧州ヒト生殖医学会(ESHRE 2017)にて、培地内にある動物の卵子細胞質にヒト精子を接触させることにより、精子の形態的性質や精子機能を検証できたと報告した。
精子の形態的特性や精子機能は、卵子の形成過程に対して大きく影響を与えるといわれる。精子と卵子の受精前に精子機能を検証する実験は世界初となる。
なお、第33回欧州ヒト生殖医学会は、7月2日から5日に掛けてスイス・ジュネーブにて開催された。
世界初となる試験的実験
Centre for Genomic Regulation(CRG)のイザベル・ベルノス(Isabelle Vernos)氏が率いる研究チームは、ヒト精子サンプル12個に対して、試験的実験を行った。
受精卵のうち30%は初期段階にて成長が止まるといわれるが、専門家らは遺伝子異常、形成異常など精子機能における異常が起因であると考えている。
体外受精の実施前に、培地内にあるアフリカツメガエルの卵子細胞質に対して精子サンプルを接触させ、精子の形態的特性 (精子形態、濃度、精子運動率)と精子機能(細胞分裂能力、受精能力)が正常に作用するのか検証した。アフリカツメガエルは、医学研究において非常に有益な実験モデル動物である。
意義のある研究
論文の主著者であるファーマーズ・アマルガント(Farners Amargant)氏は、精子サンプルが個々に異なる形態的特性を有し、生体外にて分析することに意義があったと述べている。
また、論文の共著者であるモンセラート・バラガン(Montserrat Barragan)氏は、体外受精において、事前に精子機能を検証できる技術の確立が研究目的であると説明する。今回は試験的であり、大規模な検証実験が求められるが、精子機能と生殖能力の関係性を解明できると考える。
(画像はPixabayより)

Centre for Genomic Regulation
http://www.crg.eu/