胚に異常が生じるメカニズムを発見
モントリオール大学病院研究センター (CRCHUM) は、発育過程の胚(受精卵)に異常が生じるメカニズムを理解するうえで、重要な要素を発見した。
不妊治療に用いられる胚(受精卵)の約半数には、染色体の数が異常である細胞が含まれる。染色体数的異常が生じた胚(受精卵)を「モザイク卵」と呼ぶ。
胚(受精卵)の染色体数的異常は不妊の要因となるが、これまで、胚(受精卵)にて染色体数的異常が生じるメカニズムは不明であった。
染色体数的異常が生じるメカニズム
研究チームが、染色体数的異常が生じるメカニズムを解明する為にマウスを用いた実験を行ったところ、最新の顕微鏡検査にて少核(小さな細胞核)と呼ばれる構造を発見した。
少核を含む細胞の分裂方法を観察すると、少核の発生原因は、遺伝的な物質であると判明した。この遺伝的な物質は染色体数的異常を引き起こし、小核を生じさせる。研究チームは、小核が「モザイク卵」の要因になると推測する。
なお、このメカニズムは、ヒトにも当てはまるという。
モザイク卵をめぐる議論
「モザイク卵」は質が低くなり、一部の医療関係者は受精卵移植に適さないと考える。
また、「モザイク卵」の有無を確認することで、胚(受精卵)の複雑な検査過程が省け、費用的な負担は軽減するという。このため、受精卵移植の過程にて「モザイク卵」を除外する医療機関も少なくないという。
一方、胚(受精卵)は質の低下を改善する力を兼ね備えている為、敢えて「モザイク卵」を除外しない医療機関もある。
(画像はCRCHUM HPより)

CRCHUM
http://crchum.chumontreal.qc.ca/en/