乳癌・卵巣癌の発症リスク特定
トロント大学の研究チームは、「CMAJ」にて、突然変異したBRCA1遺伝子およびBRCA2遺伝子を保有する女性は、卵巣癌になるリスクがあると発表した。
BRCA1遺伝子およびBRCA2遺伝子は、癌抑制タンパク質を生成するが、遺伝的変異体は卵巣癌、乳癌を発症させる危険因子となり、臨床的に重要となる。
遺伝子の突然変異と卵巣癌の発症リスクにおける関係性
研究チームは、2014年から2019年に掛けて発表された研究論文46文献を対象に、被験者に対するスクリーニング検査、血液検査などに加えて家族の病歴よりBRCA1遺伝子およびBRCA2遺伝子と乳癌・卵巣癌の発症リスクにおける関係性を検証した。
調査結果より、BRCA1・BRCA2遺伝子の突然変異は、乳癌・卵巣癌の発症リスクを高めることが確認された。特に、卵巣癌では症状の進行に伴い、治療後の不妊リスクが高まる。また、卵巣癌と診断された女性は、家族にBRCA1遺伝子およびBRCA2遺伝子の突然変異が認められた場合が多いという。
例外もあるが、概して、卵巣癌の女性は、ホルモン濃度は正常であるといわれる。それゆえ、研究チームは、BRCA1・BRCA2遺伝子の突然変異が認められた家族がいる場合、BRCA1・BRCA2遺伝子の突然変異について検査することを推奨する。
卵巣癌は、初期段階ではホルモン治療による完治が可能である。しかしながら、症状が進行し、悪化すると卵巣や卵管の摘出手術が避けられなくなる。再発の可能性も高くなり、女性不妊の要因と成り得る。今回、遺伝子の突然変異により卵巣癌の発症リスク特定、早期発見が可能になることにより、卵巣癌に伴う女性不妊を防げると期待される。
(画像はcmajより)

cmaj
http://www.cmaj.ca/content/191/32/E886NEWS MEDICAL
https://www.news-medical.net/