栄養面からの医療的介入の重要性
ウィーン医科大学の研究チームは、「Diabetes Care」にて、食事と運動により、妊娠糖尿病リスクを軽減することはできないと発表した。
今回の研究より、運動量の増加、ビタミンDサプリメントには妊娠糖尿病を防ぐ効果はないと報告された。食事内容に関しては更なる研究の余地を残すが、妊娠期における栄養面からの医療的介入が重要であると認められた。
妊娠糖尿病とは
妊娠糖尿病は妊娠期に生じる糖尿病であり、妊娠の影響で糖代謝異常をきたす。多くの場合、妊娠期の一時的に症状が現われ、出産を機に症状は消える。妊娠糖尿病の一因は糖尿病であり、糖尿病の女性が妊娠に伴い、妊娠糖尿病を発症することは少なくない。
肥満の女性において、妊娠期の理想的な体重増加は5キロから9キロからと定められているが、多くは理想的な体重増加幅を遥かに超過している。
妊娠糖尿病と栄養面からの医療的介入
研究チームは、「EU DALIプロジェクト」(ビタミンDおよびライフスタイルが妊娠糖尿病に与える研究)の一貫として、肥満女性436人を対象に、栄養面からライフスタイルに対して医療的介入を行った。
食生活において炭酸飲料を減らし、炭水化物・脂肪の吸収速度を抑制し、プロテイン・食物繊維の摂取量を増やすことを心掛けたグループでは、体重増加は小さくなった。
しかしながら、炭水化物の摂取量の減少に伴い、母体では空腹時の血糖値、血中の脂肪酸およびケトン(脂肪分解にて生成される物質)量、新生児では血中の遊離脂肪酸値が高くなった。
今回の研究より、運動量の増加、ビタミンDサプリメントには妊娠糖尿病を防ぐ効果は確認されず、妊娠期における栄養面からの医療的介入が重要であると認められた。
一方、肥満女性が妊娠した場合、炭水化物の摂取量を減らすことにより、妊娠期の体重増加幅が小さくなるが、母子共に血中の遊離脂肪酸値が高くなり、今後、更なる研究が求められる。
(画像はプレスリリースより)

MedUni Vienna
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