早産の要因
6月20日、オウル大学(フィンランド)の研究チームは、「PLOS Genetics」にて、胎盤内の胎児細胞に発現するタンパク質「SLIT2」の遺伝子突然変異が母親の免疫システムを活性化させ、早産を引き起こすと発表した。
「SLIT2」は胎盤内の胎児細胞に発現するタンパク質であり、胎児の神経系が発達するうえで直接的に関与する。
早産と胎児の遺伝子
研究チームは、早産を引き起こす胎児の遺伝子を特定する目的として、早産児(妊娠36週未満に誕生)247人と満期産児419人を対象にゲノムワイド関連解析(GWAS)を実施した。
ゲノムワイド関連解析では部分的に胎児組織である胎盤を用いて、タンパク質「SLIT2」の変異に焦点を当てた。「SLIT2」はニューロンの発達を促し、受容体タンパク質「ROBO1」と結束した。
解析結果より、早産児は、満期産児と比べ、「SLIT2」「ROBO1」の発現量が多くなった。また、胎盤組織の細胞を培養して解析したところ、「ROBO1」には感染、炎症、免疫反応に関わる妊娠関連遺伝子を制御する働きが認められた。
研究チームは、「SLIT2」「ROBO1」のシグナル伝達が繰り返し生じる早産の一因であると結論付けている。炎症を引き起こし、母親の免疫システムを活性化させることによって、繰り返し早産を引き起こすという。合わせて、「SLIT2」「ROBO1」のシグナル伝達は、子癇前症や子宮外妊娠など妊娠合併症の要因になる。
(画像はPixabayより)

NEWS MEDICAL
https://www.news-medical.net/PLOS Genetics
https://journals.plos.org/