胞状卵胞数が多い女性における好ましい選択
IVFMDの研究チームは、「Human Reproduction」にて、胞状卵胞数(AFC)が多い場合、未成熟卵体外成熟(IVM)は、体外受精(IVF)に比べ、治療効果は高いと発表した。
未成熟卵体外成熟による卵巣過剰刺激症候群リスクはなく、体外受精より身体的・費用的負担は小さくなり、胞状卵胞数の女性にとって効果的な選択肢であるといえる。
未成熟卵体外成熟と体外受精の比較
研究チームは、2015年6月から2017年12月に掛けて、生殖補助医療を受ける胞状卵胞が多い女性919人(18~38歳)を対象に、ベトナムにて未成熟卵体外成熟(608人)あるいは体外受精(311人)を行い、未成熟卵体外成熟と体外受精の効果・安全性を比較した。未成熟卵体外成熟、体外受精の選択は、被験者、医療関係者に委ねた。
IVMサイクルでは、1日あたり卵胞刺激ホルモン(FSH)製剤100IUを3日間投与し、続けてヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)製剤10000IUの投与を行った。一方、IVFサイクルにおいて、被験者は性腺刺激ホルモン放出ホルモン、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)製剤6500IUの投与を受けた。
1回目の胚移植による出産率と1サイクルの累積出産率、臨床妊娠、流産、多胎妊娠、卵巣過剰刺激症候群を比較した。なお、1サイクルの累積出産率は、未成熟卵体外成熟・体外受精1サイクルから採取された胚を用いて、新鮮胚あるいは凍結胚移植後の出産可能性と定義される。
未成熟卵体外成熟を選択した女性608人(新鮮胚移植511人、凍結胚移植167人)では、体外受精311人(新鮮胚移植209人、凍結胚移植185人)と比べ、成熟した卵母細胞、胚、良質な胚、凍結胚は、体外受精と比べ、顕著に少なかった。
また、未成熟卵体外成熟における胚移植1回目の出産率は、僅差ではあるが体外受精より低いことが認められた。
しかしながら、未成熟卵体外成熟では卵巣過剰刺激症候群が生じず、身体的・費用的負担は小さい。それゆえ、胞状卵胞数が多い女性では、未成熟卵体外成熟は理想的な治療であるといえる。
(画像はPixabayより)

Human Reproduction
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