精子が胎児に与える影響
インペリアル・カレッジ・ロンドンの研究チームは、今月24日、米国内分泌学会「ENDO 2019」(3月23~26日、米国ニューオーリンズで開催)にて、習慣性流産(RPL)は女性側の要因ではなく、パートナーである男性の精子DNAが起因であると発表した。
同大学のチャンナー・ジャヤセーナ(Channa Jayasena)教授は、精子が胎盤形成に重要な役割を担い、胎児の生命に対しても重要な影響を与えていると述べる。
習慣性流産とは
妊娠20週未満の流産を3回以上繰り返した場合、習慣性流産といわれる。現状、女性に対して複数の検査を行うものの、多くは原因が特定できない。
習慣性流産と精子DNAにおける関係性
研究チームは、流産を経験していない女性のパートナーである健康な男性50人、習慣性流産を経験する女性のパートナーである男性63人を対象に、テストステロンなど性ホルモン量、精子数、精子運動率、精子DNA、活性酸素種(精液内の精子などの細胞を損失させる)を測定し、精子DNAを比較した。
女性が習慣性流産を経験した場合、流産経験のない女性のパートナーと比べ、パートナーである男性の精子DNA損傷率は2倍増、活性酸素種では4倍増であった。
ジャヤセーナ教授は、今回の研究結果より、習慣性流産の要因として、男性の生殖機能における異常が考えられると述べ、将来的に、精子DNA損傷を食い止めることが習慣性流産の治療につながると示唆する。
(画像はENDOCRINE SOCIETY HPより)

ENDOCRINE SOCIETY
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