フタル酸ビスが生殖機能に与える影響
ハーバード大学医学大学院とニューヨーク州保健局は、「PLoS Genetics」(1月9日発行)にて、フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)(DEHP)が人間の生殖能力に悪影響を及ぼし、分子レベルの生殖的異常を引き起こすと発表した。
フタル酸ビスは代表的な凡庸可塑剤であり、日用品、子供の玩具、食品容器、飲料容器、医療機器など幅広く使用される。
フタル酸ビスと受精卵の染色体異常
研究チームは、ヒト遺伝的・生物学的実験に適したカエノラブディティス・エレガンス(線虫の1種、実験材料として非常に優れた性質をもつ線虫)を用いたモデル実験を行い、フタル酸ビスが生殖機能に与える影響を検証した。
モデル実験を通して、フタル酸ビスは、卵子と精子の減数分裂を乱し、結果的に、受精卵の形成および初期胚の発生において染色体異常が生じ、誤った染色体数になることが認められた。染色体数が誤った状態の受精卵・胚は成長できず、流産・死産に至る。
ヒトの場合、流産は35%以上、死産では4%が染色体異常を起因とする。また、不妊症、ダウン症などの先天性疾患も染色体異常により生じる。
研究チームは、妊娠適齢期、妊娠期にフタル酸ビス曝露を受けた場合、胎児に悪影響を及ぼすと結論付ける。
(画像はプレスリリースより)

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