母親のストレスが与える影響
Children’s National Health System(米ワシントンD.C.)の研究チームは、「JAMA Pediatrics」(1月13日発行)にて、妊娠期において、母親が深刻なストレス状態に陥ることにより、胎児の脳発達は妨げられると発表した。母親の深刻なストレスは、出生前、母親の子宮内にて発達する重要な領域における発達に異常を生じさせると報告された。
合わせて、妊婦健診に母親の精神的苦痛を測るスクリーニング検査を加え、定期的に妊娠期の母親が抱えるストレスを測定する必要性を訴える。過剰なストレスは胎児の脳発達を妨げ、それゆえ、妊娠期に過剰なストレス状態に陥った母親に対して、迅速にサポートすること重要であると強調する。
先天性心疾患と胎児の脳発達における関係性
これまで、先天性心疾患(CHD)をもつ子供は、脳の発達および脳内で起きている生化学反応に異常が認められている。
今回、研究チームは、胎児が先天性心疾患であると診断された母親48人を対象に、スクリーニング検査にて母親のストレス・不安度を測定し、胎児が健康な状態である母親92人と比較した。
母親のストレス・不安度は、知覚されたストレス尺度「Perceived Stress Scale(PSS)」、特性不安尺度「Spielberger State-Trait Anxiety Inventory(STAI)」、エジンバラ産後うつ質問票「Edinburgh Postnatal Depression Scale」に基づき、評価された。
胎児140人に対しては、妊娠21週目から妊娠40週目の間にMRI(核磁気共鳴画像法)検査を行った。同時に、総脳容積(TBV)に加えて、脳の一部(大脳・小脳・脳幹・両側のヒッポカムポス(海馬))の容積を測定した。
研究チームは、検査結果より、妊娠期における母親が受けるストレス度と子宮内環境は関連性があり、ストレス度の増加に伴い、学習行動・協調運動・社会的発達・行動学習に関与する脳領域の発達が妨げられると結論付けた。
(画像はJAMA Networkより)

JAMA Network
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