不妊治療と後成的変化
ピッツバーグ大学のマギー・レームズ研究所は、「Clinical Epigenetics」にて、マウスを用いた動物モデル実験を通して、不妊治療は、染色体または遺伝子に変化を伴う遺伝子疾患であるベックウィズ・ヴィーデマン症候群、ラッセル・シルバー症候群、アンジェルマン症候群に関連するエピジェネティクス(後成的)な変化を引き起こすと発表した。
遺伝子疾患は遺伝子発現の異常に起因するが、不妊治療により誕生した子供は、自然妊娠にて授かった子供と比べ、遺伝子疾患リスクが11倍増であると報告されている。
母体年齢の上昇に伴い、生殖機能は衰え、自然妊娠の可能性は低下し、一方、遺伝子疾患および後成的疾患リスクは増加する。母体年齢が上がるにつれ、不妊治療を使用する傾向にあり、結果的に、不妊治療にて授かった子供に遺伝子疾患が生じやすくなると考えられる。
マウスを用いた動物モデル実験
研究チームは、45歳の女性にあたる年齢の雌マウスを用いて、後成的疾患に関連する遺伝子の周りに留められた遺伝子発現を防ぐ物質より、マウスの胚におけるDNAメチル化の量を測定した。
不妊治療を受けた状態(ホルモン投与による無排卵、体外での胚の人工培養)にしたマウスでは、ホルモン治療と胚の培養によって、重要な場所でDNAメチル化は破壊された。ホルモン治療と胚の培養の併用により、影響はより強くなった。また、一方で、母体の年齢は、DNAメチル化のパターンに対して何ら影響しないことも認められた。
これまで、母体年齢の上昇に伴い、卵子では分子的変化が生じ、分子的変化がDNAメチル化の異常を引き起こしていると考えられてきたが、今回、母体年齢は要因でないと判明した。研究チームは、更なる研究の余地があり、不妊治療の改善には多くの研究を必要とすると述べる。
(画像はUPMCより)

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