40歳以上の卵子採取推奨せず
晩婚化が進み、加齢で妊娠しにくくなる「卵子の老化」が注目される中、若いうちに卵子の保存を望む女性が増えている現状を踏まえ、日本生殖医学会は15日、神戸市内で総会を開き、健康な未婚女性が将来の妊娠に備えて卵子を凍結保存しておくことを認めるガイドライン(指針)と、実施できる施設の基準を正式決定した。
指針に拘束力はないが、日本には卵子凍結や体外受精などを規制する法律はないのが現状だ。年齢や施設基準などで一定のルールを設けることで、卵子の凍結保存にまつわるトラブル(高額な費用を請求されるなど)を回避するとともに、卵子の凍結保存が無秩序に広がるのを防ぐ考え。
指針の主な内容を見てみると1、既婚、未婚を問わず、40歳以上での卵子の採取と、凍結卵子を使った45歳以上での妊娠を推奨しない2、卵子の凍結保存は、妊娠・出産の先送りを推奨するものではなく、凍結した卵子は本人が希望した場合や死亡した際には直ちに破棄するものとし、妊娠可能年齢を過ぎた場合には通知した上で破棄できる―などが盛り込まれている。
25~35歳で自然妊娠が原則
岡山大が今月公表した日本産科婦人科学会に登録している全国の医療機関を対象にした無記名調査の結果によれば、卵子の凍結保存は既に9施設が実施しており、71施設で「将来、実施する可能性がある」ことが判明している。
同学会の吉村泰典理事長は、健康な未婚女性が将来の妊娠に備えて卵子を凍結保存しておくことを認めたことについて「25~35歳で自然妊娠するのが原則。(卵子凍結による妊娠を)希望する人の道を閉ざさないための指針だ」と話している。
ただ、技術は向上しているとはいえ、未受精卵の凍結による出産は、受精卵のそれより成功率が低いと言われている。卵子凍結を希望する女性はこうした知識を持った上で妊娠・出産のタイミングを十分考える必要がある。

日本生殖医学会ホームページ
http://www.jsrm.or.jp/