健康な独身女性の卵子凍結保存、9ヵ所で実施
岡山大学のグループ調査によって、国内の少なくとも9つの医療機関で、不妊治療をする夫婦などに限るべきだとされている「卵子の凍結保存」が、健康な独身女性を対象に実施されていることが初めて分かった。10日付のNHKニュースなどが報じた。
今回の調査は岡山大大学院保健学研究科の中塚幹也教授、山陽学園大看護学部の井上理絵助教らが昨夏、日本産科婦人科学会に登録する全国の医療機関1157施設の代表者を対象に質問書を郵送し、その意識調査をまとめた結果で、有効回答は415だった。
グループ調査によれば、生殖医療における配偶子(卵子、精子)の凍結保存については、健康な未婚者に対し、凍結保存を実施した場合、6割の施設が「倫理的な問題はない」と考えていることが分かった。
また、健康な未婚者への凍結保存は卵子9カ所、精子15カ所で実施されていることも明らかになり、今後、健康な未婚者に対し「自身の施設で行う可能性がある」との回答も約17%あることも判明した。
卵子凍結保存、ルール作り急務
凍結保存した卵子を使用してよい女性の年齢については、6割の施設で年齢制限を設けた方がよいとしており、「41~45歳」が30・4%、「46~50歳」は19・5%、「40歳まで」が12・5%だった。
今年9月には日本生殖医学会が、未婚女性の将来の妊娠に備え、卵子の凍結保存に関して事実上容認する指針案を公表しているが、いずれの指針も拘束力はなく、各機関の裁量で行っているのが現状だ。
同大では「ルールが決まっていない中、なし崩し的に広がっており、懸念される状況。一般の意識調査も明らかにしながら、ルール作りを急ぐ必要がある」としている。

岡山大学大学院保健学研究科(中塚研究室)
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