不妊治療前に風疹抗体検査やワクチン接種歴確認
風疹患者の広がりが止まらない。国立感染症研究所が発表している風疹の発生動向調査の結果から、最新(6月19日現在)の国内風疹患者数が1万800人を超えたことが分かった。これは去年1年間の患者数の4倍で、患者の9割が大人であり、男性は20~40代、女性では20代が多いのが特徴だ。
今年の風疹の大流行を受け、日本産科婦人科学会は24日、会員医師に対し「妊娠を希望する女性に対する風疹の罹患予防に関するお願い」を発表し、妊娠を希望する女性が不妊治療を行う前に、風疹の抗体検査やワクチンの接種歴を確認し、風疹感染の予防に関する適切な情報提供や十分な風疹対策の実施を徹底するように通知した。
妊娠20週ごろまでの妊婦が風疹に感染すると、胎児が難聴や白内障、心臓病などの「先天性風疹症候群」が出る恐れがあるのだが、不妊治療を行う際に風疹の抗体まで調べてくれる医療機関は少ない。妊娠した際は、医療機関が風疹の抗体値を調べてくれるが、抗体値が低かったとしても、妊娠中に予防接種は打てないのだ。
同学会では不妊治療を行う前にワクチンの接種歴や抗体を調べることで、不妊治療で妊娠した女性が、風疹に感染するリスクを回避したい考え。また、不妊治療を行う女性だけでなく、その家族にも適切な予防対策を行うことが重要だとの見解も示した。
風疹ワクチン、8月にも一時的に不足
専門家は「風疹はワクチンを接種することで予防することが可能。1回の予防接種でも十分予防は可能だが、2回接種を行うことでより確実な予防が可能になる。妊娠を希望する女性は2回目の接種を受けて欲しい」と呼びかけている。
ただ、接種を受ければすぐに大丈夫というわけではなく、接種から抗体ができるまでには2~3週間はかかるとされており、接種後2カ月間は避妊をすることも忘れてはいけない。
全国的な風疹の流行により、各自治体が相次いでワクチン接種に補助金を出したことも影響してか、風疹の単体ワクチンだけでなく、供給量が十分とされていた麻疹風疹混合ワクチン(MRワクチン)までもが8月にも一時的に不足するおそれがあると見られている。厚生労働省では、任意の予防接種に関しては、妊婦の周辺にいる人や妊娠を希望する人などを優先するよう、自治体や医療機関に協力を求めている。

日本産科婦人科学会
http://www.jsog.or.jp/国立感染症研究所
http://www.nih.go.jp/niid/ja/rubella-m-111/700-idsc/2131-rubella-doko.html厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/