エコノミー症候群だけじゃない、妊娠中も静脈血栓塞栓リスクはアップ
イギリスの調査で、IVFの結果出産した女性では、自然妊娠で出産した女性と比べて肺塞栓など血栓症を起こすリスクが高くなるという心配な報告がされました。
静脈血栓塞栓は日本では、妊婦さんよりもエコノミー症候群と結びつけて考えている人が多いのではないでしょうか。実は妊娠しているときにもリスクが高くなるのです。
静脈血栓塞栓、静脈の中に血の塊ができて、血管が詰まってしまう状態です。これが、肺へと流れて肺と心臓をつなぐ血管が詰まってしまうと、肺塞栓という命に関わる状態になってしまいます。
IVFと自然妊娠の結果を比較
今回報告された調査の対象となったのは1990年から2008年にIVFの結果出産した23498人の女性と、自然妊娠で出産した116960人の女性です。この人たちの肺血栓と、静脈血栓塞栓の発生についてを、妊娠中を通じて比較しました。
静脈血栓塞栓症の発生は、IVF組では1000人に対して4.2人、自然妊娠では2.5人でした。妊娠期間を通じて見ると、IVF組と自然妊娠組の血栓のリスクは、妊娠初期での差が一番開いていました。
心配しすぎずに、冷静な対処を
とはいえ、発生率で言えば、妊娠初期の血栓は今回のイギリスの調査で10000人に対して3人ですので、妊娠イコール静脈血栓塞栓症ということではありません。あくまでも、医学の専門家としては注目に値するという意味での数字となっています。
血栓ができても無症状の場合もありますが、しびれ、皮膚の色が変わる、むくむなどといった症状が出ることもありますので、こうした症状が出たらすぐに受診をすることを心がけましょう。

Incidence of pulmonary and venous thromboembolism in pregnancies after in vitro fertilisation
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3546085/