大塚医院の医師渡辺賢治先生による治療法
漢方のあるライフスタイルを提案するサイト「漢方デスク」には、東京四谷にある漢方専門クリニックである大塚医院の医師渡辺賢治先生による不育症や不妊症のタイプ別治療法のコラムが紹介されています。
下焦の虚証(げしょうのきょしょう)タイプ
症状は、腰痛があったり、足に力が入らない、トイレが近い、疲れやすい、腰が痛い、足が冷えたりしびれる、インポテンツなどで、 漢方的には、年齢の割に加齢による変化があり不妊となっている状態を下焦の虚証(げしょうのきょしょう)と呼びます。
不適切な生活習慣により、生まれ持った生命力を浪費してしまい、例えば30代なのにすっかり老け込んでしまっているような場合には、子どもを作る生命力も失われてしまうと考えられます。
これらの症状には六味丸(ロクミガン)、八味丸(ハチミガン)という漢方薬が良いとされています。
血虚証(けっきょしょう)タイプ
症状は、肌が乾燥しやすかったり、皮膚が浅黒くなる、爪がもろくなって割れる、髪の毛がいたんで抜けやすいなどで、人によっては体がほてったり、眠れなくなったりする症状がみられます。
漢方的には、不妊の症状があるだけでなく、月経の出血量が少ない状態も当てはまり、その症状を血虚証(けっきょしょう)と呼んでいます。
血虚の原因には、気虚による消化機能の低下から、体全体の栄養状態が悪化していることや、栄養分を乗せて身体中をめぐるはずの血のめぐりが悪くなることが考えられていて、これらの症状を改善するためには、四物湯(シモツトウ)、温経湯(ウンケイトウ)、当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)という漢方薬が良いとされています。
気虚証(ききょしょう)タイプ
症状は、疲れやすい、だるい、食後に極端に眠くなる、やる気がでない、食欲がない、風邪を引きやすいなどで、精子の運動が不十分な男性のことを指す場合もあります。
漢方的には、不妊に加え、胃腸が弱く、疲れ易いような状態を気虚証(ききょしょう)と呼び、気が足りない状態のことをいいます。
例えば男性の精子の運動が悪くて不妊になっているような場合は、気虚証を防ぐために、食事や呼吸で後天の気を補う必要があります。特に、消化機能を高める食事を行うことが重要です。補中益気湯(ホチュウエッキトウ)を飲むと、これらの症状の改善に良いとされています。
瘀血証(おけつしょう)タイプ
症状は、生理不順、ひどい月経痛、クマやシミ・そばかすといった色素沈着、ニキビ、手足が冷えるのに顔がのぼせる、頭が痛い、肩こり、便秘などで、漢方的には、血のめぐりが滞って不妊になっている状態を瘀血証(おけつしょう)と呼びます。
舌の裏の静脈が太かったり、足に静脈りゅうがみられたり、舌の色が暗紅色になっていたり、痔であったりと、診察してみるとそのような症状がみられることも多々あります。
血のめぐりが悪いことは、原因や結果として水毒証、気虚証、気うつ、気滞証などがあり、それらの組み合わせによっては、むくみや疲れやすさ、気分の落ち込みなどをともなうことがあります。
桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)、桂枝茯苓丸加薏苡仁(ケイシブクリョウガンカヨクイニン)という漢方薬がこれらの症状の改善に良いとされています。
上記に挙げた症状は、一例でしかありません。漢方治療の大きな柱は生活習慣の改善(養生)と、漢方薬や鍼灸(しんきゅう)です。
また、不妊症・不育症に悩むストレス、周囲からのプレッシャーにより、生理不順や上記の症状などが現れ、悪循環を招くこともあります。
妊娠に向けての、特に不妊・不育治療に対する夫や妻の協力が重要になります。夫婦間でのコミュニケーションやスキンシップを大切にする必要があります。

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