精子と卵子
日本人夫婦の6組に1組は不妊を抱えているといわれる現代。その中で、“卵子の老化”は取りざたされてきたが、果たして精子は老化しないのだろうか?
精子と卵子は元は同じ細胞で、胎児の時に精子のもとになる「精祖細胞」と、卵子のもとになる「卵祖細胞」に変化していくという。
“老化”のメカニズム
卵子は減数分裂を繰り返す。それは胎児の段階で開始され、その後いったん休止し、思春期に再び始まるという。そのため、卵子の年齢は女性の年齢とほぼ同じだといえる。
卵子が老化すると、その減数分裂が上手くいかなくなり、染色体異常の確率が上がる。それが、流産やダウン症などの原因となるのだ。
その一方で、精子は思春期を迎えてから作られ始める。そのため、年齢による大きな影響は見られないという。
子どもに与える影響
そんな中、今年8月に、父親の年齢が高い子どもほど、自閉症や統合失調症が増えるとの報告があった。これはアイスランドで行われた調査の結果だ。
ただ、両親の年齢と障害児が生まれる確率に関係はあると言っても、その数字は微々たるものだ。たとえばダウン症児が生まれる確率は、母親が35歳で0.3%、40歳で1%程度。もちろん、若ければ0というわけでもない。
不妊治療に関わる問題は様々ある。胎児の染色体異常なども、その1つといえるだろう。しかし、データを見てみると、障害が出る確率は若いときの妊娠と、大きな差があるわけではない。
いくつであっても、妊娠出産は素晴らしいものだ。あまり悲観的になり過ぎないで欲しい。

読売新聞
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