小さなひっかき傷をつけるだけ
イギリスの専門家が、子宮に小さなひっかき傷をつけるという、単純な方法で体外受精(IVF)の成功率をアップさせるという驚きの報告をしました。
この調査によると、IVFの1ヶ月前に子宮内にわずかなひっかき傷をつけた女性の妊娠率が、他の女性と比べて2倍にもなったとされるものです。処置時間はわずか15分、費用も200ドル程度とされています。膣から内視鏡を入れての処置で、痛みがあっても生理痛程度と言われています。
子宮内膜の組織検査後のIVF成功率が高いことに着目
今回の研究は、2003年に行われた調査が元になっています。IVFに失敗した女性のうち、子宮内膜の組織を取って生検を行った人たちは、これに続くIVFサイクルでの妊娠率が高かったのです。子宮内膜に傷をつけるというアイデアはこの調査結果が元になっています。
あらかじめ、子宮内膜に傷をつけておいた女性たちの間では、IVFで、受精胚を子宮に戻すと、ひっかき傷の部分に着床、妊娠成立となったケースが半数近くに上ったそうです。
原因は不明でも、希望の持てる方法であることは事実
成功率がアップする原因が解明されていないことや、研究の方法としての信頼度がまだ不十分であるという指摘もあります。また自然のプロセスでは起こりえない方法であることに対する疑問の声もあります。けれども、今後更に調査が続けられることで一般に認められるようになる可能性も高いと言えそうです。
感情の浮き沈みが激しい女性では、IVFの成功率が低いとも言われているため、こうした方法で、IVFに希望を持つことができるというのも大切なことだとの指摘もあるそうです。
論文は専門誌のReproductive BioMedicineオンライン版に掲載されています。

Womb-Scratching Technique May Boost IVF Success(abcNEWS)
http://abcnews.go.com/Health/WomensHealth/PubMed ; Local endometrial injury and IVF outcome: a systematic review and meta-analysis
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22885017