2種類のタンパク質に注目
オーストラリアの大学やアメリカの専門家たちが共同で行った調査で、不妊や更年期に影響を及ぼす2つのタンパク質、PUMAとNOXAが確認されました。
元々この研究は、がんの治療と不妊のメカニズムを知るために行われました。この過程で、PUMAとNOXAは、抗がん剤や放射線によるがん治療により、卵巣での卵細胞の中の遺伝子にダメージを受けると、その卵細胞を細胞死の状態にすることが明らかになりました。
PUMAが作用しない状態で放射線によって、DNAの破壊を受けた卵細胞は、細胞死に陥らなかったのです。
更にNOXAが働かないようにした環境下では、放射線療法を受けても、DNAはより厳重に保護された状況となっており、傷ついたDNA情報を修復することが可能なことも分かりました。
DNA情報を守り、細胞死を防止すれば、早期更年期も予防可能
この発見から、PUMAやNOXAを操作することで、卵細胞を生かし、さらにより健康なDNA情報を守ることができると予測されています。
これは、不妊治療としても特に早期更年期によるものに関して、効果があると考えられています。更年期は、女性が生涯で排卵する卵細胞がなくなる頃から起こるため、二つのタンパク質を操作して、細胞死を防げば、より長期的に排卵を続けることができるようになるのです。
研究は、専門誌のMolecular Cellに掲載されました。

Molecular Cell ; DNA Damage-Induced Primordial Follicle Oocyte Apoptosis and Loss of Fertility Require TAp63-Mediated Induction of Puma and Noxa
http://www.cell.com/molecular-cell/abstract/S1097-2765(12)00735-6