ラマの精液から驚きの発見
妊娠のメカニズムの新しい事実が発表されました。
私たち人間は、一定の周期で自然に排卵する生き物です。一方で、ラマやラクダ、ウサギ、コアラの妊娠のメカニズムは、交尾によって排卵することで知られており、ヒトの妊娠とは異なる仕組みだと考えられてきました。
ラマの精液中のタンパク質の一で、雌の排卵を促すタンパク質の一種が明らかになった結果、これは科学者にとってはすでにおなじみの、神経成長因子(NGF)といわれるものだったのです。
人間の妊娠にも関連???
調査を行ったカナダのグレッグ・アダム医師によると、人間の女性はこの物質の力を借りなくても排卵するのはもちろんのことですが、この物質は妊娠のメカニズムの中で重要な役割を示していると考えられています。ラマの精液から取り出したNGFをウシに投与すると、妊娠に有利に働くことも確認されています。
不妊の原因としても考えられる??
このことから、アダム医師は、現在原因不明の不妊とされているカップルの中には、男性側で精液の中のNGFが不足していたり、女性側でNGFへの反応がなかったりすることが原因となっているケースがあるのではないかと指摘しています。
NGFやこれに似た物質は、人間の女性の卵巣でも作られていて、これが排卵に重要な役割を持っているのですが、男性の精液中に含まれるNGFについても、妊娠が成立するための役割があると、予測されており、今後さらなる調査が行われることになりそうです。

Nature ; Nerve-growth protein linked to ovulation
http://www.nature.com/news/