子宮の「超環境」は不育症の原因になり得る
イギリスとドイツの共同研究が、科学誌PLoS ONEに掲載されました。
Super fertility-子宮の「超環境」という考え方で、不育症に説明がつくことが明らかになったのです。子宮の「超環境」とは、不育症の女性の子宮が、肧にとって、とても住み心地の良い環境で、通常着床に至らないような肧でも、着床する、という解釈です。
この発見により、女性が不育症の傾向があるかどうかを調べることもできるようになるため、専門家の間で高く評価されています。
不育症は、イギリスでは100人に一人の割合で見られています。
育つことのできない状態の受精卵でも着床が成立
調査チームでは、不育症ではない6名の女性と不育症と診断されている6人の女性の子宮から、細胞をサンプルに取って、これを調べたのです。
そして、質の高い肧と、質の低い肧をそれぞれ、この細胞と接触させました。不育症の女性の細胞は、どのような質の肧と接触しても、成長するのに対し、他の女性の細胞は質の高い肧と接したときのみ増殖することが分かりました。
不育症の診断・治療に貢献
この結果から、不育症は、「着床を受け付けない」のではなく、本来では生き残ることができない状態の受精卵も着床してしまうので、最終的には肧が出産に至るまでの成長を遂げられず、妊娠の過程で流産となってしまうのではないかという解釈が成り立つようになりました。
また、このような検査を臨床で行えるようになれば、不育症の原因の一つである”超環境”をスクリーニングできるようになります。今回の調査は、数の上でも少ないため、今後更にデータ数を増やすことが必要とのことですが、不育症に対する新たな側面が見つかったことは、今後の不妊治療にも大いに貢献することと思われます。

BBC News ; Super-fertility offers clue to recurrent miscarriage
http://www.bbc.co.uk/news/health-19361432PLoS ONE ; Endometrial Stromal Cells of Women with Recurrent Miscarriage Fail to Discriminate between High- and Low-Quality Human Embryos
http://www.plosone.org/article/