少々のお酒なら大丈夫
6月20日付のアメリカの医療情報系サイトMNTによると、デンマーク、オルフス大学の准教授であり、オルフス大学付属病院の産婦人科医でもあるUlrik Schioler Kesmodel氏とコペンハーゲン大学の医療心理学教授、Erik Lykke Mortensen氏の調査により、「ほどほどの飲酒なら妊娠中に飲んでも大丈夫」という見解が発表された。
画像提供:足成
グループ別に調査
調査では、1,600人を超える妊婦を対象に、対象者の子どもらが5歳になった時の神経発達の違いに焦点を当てた。まず、母親らを1週間に摂取するアルコール量により、次の4つのグループに分けた。
(1)1週間に1杯~4杯摂取した場合は、低摂取グループ。
(2)1週間に5杯~8杯摂取した場合は、中摂取グループ。
(3)1週間に9杯以上摂取した場合は、高摂取グループ。
(4)宴会などで、一時的に6杯以上摂取した場合は、一時高摂取グループ。
また国の文化の違いにより、アルコール飲料に含まれる純アルコール量が違うため、イギリスは7.9g、デンマークは12g、アメリカは14gで換算した。
気になる結果は?
次に、子どもらのIQテストを実施。注意力、行動力、自己制止力、計画性や社会性など様々な点から考察。結果、低摂取グループ、中摂取グループに属する母親らの子どもには、ほとんど発達における悪影響はなかった。また、一時高摂取グループに属する母親らの子どもですら、注目に値すべき悪影響は見られなかった。
一方、高摂取グループに属する母親らの子どもは、全く別で、選択的注意力や持続的注意力などが低くかった。
専門家の見解
Ulrik Schioler Kesmodel氏らは結論付ける。今回の調査で、妊娠中に常日頃、たくさんのアルコールを摂取することは、胎児の神経発達に影響を及ぼすことが判った。特に、子どもらの知力、注意力、行動力に悪影響を及ぼしていることが確認できた。しかし、今までに知られていないように、妊娠中に少量のアルコールを摂取したり、たまに摂取したりすることは、5歳時における子どもの成長の発達への悪影響とは関連性がない。新しい発見だが、引き続き広く調査して、アルコールが及ぼす影響の可能性を探らなくてはいけない。
調査補足
今回の調査で対象となった1,600人の母親らの平均年齢は30.9歳。ほぼ半数の母親が今回が初産、1割強がシングルマザーでの出産、3割強が妊娠中に喫煙していた。(編集部翻訳担当 渡邉充代)

MNT
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