母乳の中にエイズの抗体が!
5月22日付のサイエンス誌Eurekalertによると、米、デューク大学医療センターの研究員らが、母乳の中に、HIVの抗体を発見した。HIVワクチン開発の前途に、光明を見出すと期待されている。
研究員らは、アフリカのマラウイに住む、HIVに感染した女性の母乳から抗体を採取。その抗体をB細胞と名付けた。そのB細胞が中和抗体を生成しており、その中和抗体は、エイズの原因となるウィルスを抑制するものだった。
HIVは、母親から子どもへ母乳を通して感染し、特にHIV感染者が多い地域では、安全な育児を行う上で、難題をもたらしている。しかし、HIVに感染し、かつ母乳育児を行っている母親らのうち、その子どもらにウィルスを感染させたのは、10人に1人の割合だった。
専門家の見解は?
デューク大学の小児感染症専門の助教授、Sallie Permar, M.D., Ph.D.氏は語る。「非常に注目すべき発見だ!母乳育児の子供らは、生まれた時から四六時中、感染の危険にさらされている。90%の感染しなかった乳児の免疫反応について調査中だ。HIV感染を予防する免疫の仕組みに、何か役立つかもしれない。HIVの中和抗体を生成しているB細胞について、引き続き研究をして行きたい。免疫反応を増強させたり、B細胞の粘膜を採取して、有効な抗体を作ることは、HIVワクチンの開発を探る上で、大いに役立つだろう。」
なお、この研究内容については、オープンアクセスの査読付きの科学雑誌、PLoS Oneにて、5月18日に公表されている。(編集部翻訳担当 渡邉充代)

アメリカ総合医療サイトMedindia
http://www.medindia.net/news/antibodies-that-help-to-stop-hiv-virus-found-in-breast-milk-101627-1.htm