妊婦の悩みを見つける新しい取組
5月29日付の英、医療系ネット新聞、MNT(Medical News Today)の発表によると、南アフリカ共和国にあるケープタウン大学の研究チームが、妊婦の出産前後の心の健康について、次の3つの取り組みを行った。
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(1)医療従事者の訓練。(2)出産前の妊婦の心の悩みを定期的に診断。(3)妊婦が照会できる機関を設立し、相談員や精神保健の専門家らを配置。発展途上国では、母親から派生した精神疾患の病有率が非常に高い。研究者らによると、段階的な取組みが必要という。
相談を希望しない妊婦は、ほとんどいない
2008年度から2011年度までの4年間を調査したところ、地域の保健医療福祉施設に通う妊婦のうち、90%が心の悩みについて相談したいと回答。また、相談したいと回答した妊婦らのうち80%が、実際に相談していた。うち相談者の2%が、精神科医を必要とし、大半の妊婦は、相談することにより、悩みが解消されたという。
日本では、保健機関主催の定期的な相談は、子どもの育児相談と併せて産後に実施される。南アフリカの研究チームのような、医療従事者も交えての出産前の定期的な心の相談の取り組みの充実は、今後、日本でも実施されるよう期待したい。
この研究の詳細については、米の科学誌PLoS Medicineに記述されている。(編集部翻訳担当 渡邉充代)