肥満と妊娠の関係性が次々と明らかに
このところ、妊娠と肥満に関する多くの報告が世界中で上がっていますが、現在専門家の間では「肥満の人を治療の対象にするべきか、それとも適正な体型になってから治療を開始するべきか」という意見が活発に交換されているそうです。アメリカ不妊治療協会のサイトに,産婦人科医のセレーナ・チェン先生がコラムを寄せました。
BMIを基準にして考えると、30以上の人は太り気味、40を超える人は肥満とされています。アメリカ国内では、妊娠可能年齢の女性の約半数が太り気味、または肥満にあたるそうです。肥満の女性は、適正体重の女性に比較して、3倍も不妊と診断される率が高く、また、治療への反応は適正体重の女性よりも低いそうです。
また、肥満の女性の場合、妊娠後に流産などの危険や妊娠中毒症にかかる率、障害を持った子どもが生まれる可能性も高くなるとのことです。
世界では肥満の場合不妊治療に制限が出ることも
危険な妊娠中毒症などの発症を考えると、ホルモン療法などの不妊治療を行うことが、果たして本当に良いことなのかというジレンマに悩む産婦人科も多いそうです。しかし、体重を基準にすることは、全米の多くの州で採用している差別に関しての法律に触れる可能性もあり、対応には慎重にならざるを得ません。
アメリカ以外の国では、特に不妊治療のコストが国の負担になるところで、すでに何らかの基準を取り入れています。ニュージーランドでは、肥満女性に不妊治療を行った場合の成功率が低いことを理由に、治療を受けられる範囲をBMI18-32としています。イギリスでは法的な基準はないものの、禁煙指導や適正体重指導は日常的に行われており、多くの不妊治療クリニックでは肥満の女性には、人工授精や体外受精を行わないところも多く見られます。
不妊クリニックを訪れたら、減量対策もしっかり話し合って
けれども、体重が多めだからと言って、子どもを授かりたいという気持ちを変えられるものではありません。チェン先生は、直接的な不妊治療だけでなく、体重管理についても不妊クリニックの受診時にしっかりと担当医と話をするべきだとしています。5キロ程度の健康的な減量は、生活改善で達成できる人も多くいるからです。
体重管理は、自分の意思だけで解決できないことが多い不妊への取り組みの中で数少ない、自分の意思で取り組むことが出来る方法で、妊娠成功率がぐんとアップすることも期待される方法なのです。正しく食べて、たくさん歩いて、ストレスをためないで。試してみる価値があると思いませんか?

The American Fertility Association ; Fat: the biggest infertility issue?
http://www.theafa.org/blog/