チーズの新たな効能
Nutrition Journal 2012にて5月17日に発表されたところによると、日本で行われた調査によって、妊娠中にチーズをたくさん食べることで、産まれてくる子どもが虫歯になるリスクを減らすことができる可能性があるということが判明しました。
虫歯は、世界的に見ても、子どもたちに最も多い慢性疾患です。幼少時だけでなく、生涯にわたって影響を及ぼしかねません。胎児の歯の形成は妊娠13週頃から始まるため、妊婦の摂取する栄養素が歯の形成にも密接に関わってくると言われています。
調査の内容は?
歯の形成には、カルシウムが深く関わっています。そこで、福岡大学のKeiko Tanaka氏らによって、「妊娠中の乳製品・カルシウムの摂取」と「子どもの虫歯リスク」との関係性についての調査が行われました。
調査の対象となったのは、日本の315組の母子です。母親が妊娠中に摂取していた食品のデータ分析、そして子どもの生後41~50ヶ月時点においての虫歯チェックが行われました。
そして調査の結果、子どもの虫歯リスクを最も減らすことができた食品は「チーズ」だったのです。ヨーグルトなど他の乳製品も、チーズほどではないにせよ、子どもの虫歯リスクを減らす効果がありました。しかし、カルシウムが豊富なはずの牛乳に関しては、そのような効果は見られませんでした。
栄養たっぷりで一石二鳥
どうして「チーズ」が子どもの虫歯リスクを減らすことができるのか、という点に関しては、残念ながらまだはっきりとわかっていません。チーズが含むカルシウム以外の何らかの成分が、胎児の歯の形成に影響しているのではないかと言われています。
チーズにはカルシウムだけでなく、たんぱく質やビタミンA・B、鉄分などの栄養素も豊富に含まれています。栄養たっぷりなだけでなく、子どもの健康な歯をつくる手助けまでできるなんて、一石二鳥ですね。

Dairy products and calcium intake during pregnancy and dental caries in children
http://www.nutritionj.com/content/11/1/33/abstract