乳がん発症率1.5倍
Fertility and Sterilityオンライン版にて5月28日に発表されたところによると、西オーストラリア大学の研究者たちによって「体外受精」と「乳がん」との関係性についての調査が行われました。
その結果、20代で体外受精治療を受けた女性は、受けなかった女性に比べて、その後15年間における乳がん発症率が約1.5倍高いということが判明しました。
体外受精治療中は、乳がん発症に関係しているホルモン「エストロゲン」のレベルが通常の13倍にまで高まることがあります。強いホルモンを使って卵巣を刺激することの危険性については、これまでにも指摘されてきています。
調査の内容は?
この調査は、1983~2002年に西オーストラリアで不妊治療を受けた、20~44歳の21,025人の女性を対象に行われました。そのうち7,381人が体外受精治療を受け、384人が乳がんを発症しました。不妊治療後の事後経過観察は、平均16年間でした。
そして、24歳で体外受精治療を受けた女性は、受けなかった同年齢の女性に比べて、乳がん発症率が約1.5倍高いという結果が見られたのです。しかし、30代や40代の女性の間では、そのような「体外受精」と「乳がん」との関係性は見られませんでした。
またそれとは別に、35歳以上で1人目の赤ちゃんを産んだ女性は、25歳以下で1人目の赤ちゃんを産んだ女性に比べて、乳がん発症率が約2倍高いということもわかりました。さらに、双子や三つ子を産んだ女性は、乳がん発症率が低いということもわかりました。
今後のより深い調査が必要
西オーストラリア大学のLouise Stewart氏は、次のように述べています。
この調査結果は、30代・40代で体外受精治療を始める女性を安心させることとなるでしょう。なぜなら、その年代の女性においては、「体外受精」と「乳がん」との直接的な関係性は見られなかったためです。
しかし、すべての女性は「体外受精治療を受けるかどうかに関わらず、1人目の出産が遅くなると乳がん発症リスクが高まる」ということも知っておくべきです。
体外受精治療を検討している若い女性は、乳がん発症率が高まる可能性があるというリスクも考慮に入れて、本当にその治療を行うべきかどうか考えた方がいいですね。
しかし、今回の調査結果は偶然の結果である可能性もあると言う専門家もおり、まだまだ今後より深い調査が求められています。早く、皆安心して体外受精治療が受けられるようになるといいですね。

In vitro fertilization and breast cancer: is there cause for concern?
http://www.fertstert.org/article/