肥満起因の男性不妊に対する治療
1月13日、タイ、オーストラリアなどの専門家による研究チームは、「Nutrients」にて、マルベリー果実エキスが、肥満起因の男性不妊に治療効果をもたらす可能性があると提唱した。
マルベリー(桑の実)から抽出されるエキスには、高脂肪食(HFD)による肥満が男性の生殖機能に対して及ぼす悪影響を軽減する効果があると期待される。
マルベリーが高脂肪食による男性不妊にもたらす影響
肥満は、精子濃度の低下、精巣形成障害や精巣の形態異常、精子形成障害など男性のリプロダクティブ・ヘルスに深刻な影響を及ぼす。特に、高脂肪食と男性の生殖機能障害には強い関連性があり、高脂肪食摂取は酸化ストレス、炎症、ホルモン不均衡を引き起こし、生殖機能・能力を損なわせる。
しかしながら、現状、肥満を起因とする不妊に対する治療は限られている。そこで今回、研究チームはマルベリーに着目し、マルベリー果実エキスが高脂肪食による男性生殖機能障害にもたらす影響について検証した。
なお、マルベリーには、アントシアニンやポリフェノールなどの生理活性化合物が豊富に含まれ、抗酸化作用と抗炎症作用があるといわれる。
文献情報データベース「PubMed」「Web of Science」「Scopus」「Google Scholar」を包括的に分析したところ、マルベリーの生理活性化合物が高脂肪食による男性生殖機能障害に対して治療効果があると示された。
マルベリーのアントシアニンやポリフェノールは、抗酸化防御機能(活性酸素の除去や産生の抑制、活性酸素によりダメージを受けた箇所の修復などをサポートする働き)を強め、炎症を軽減する。これにより、精巣の形態、精子形成、精子パラメータが改善されるという。
今回の調査では、治療開始から14日以内に初期の改善がみられ、28日後には最適な治療効果が得られることが確認された。
(画像はMDPIより)

MDPI
https://www.mdpi.com/2072-6643/17/2/273