ゲイのコミュニティの協力
オーストラリアで、ゲイ(男性の同性愛者)のコミュニティの協力によって、精子提供者を待つ女性たちの待機期間が大幅に短縮されたとのことです。Sydney Morning Herald紙が、5月8日に報じました。
オーストラリアでは近年、精子提供の需要が着実に伸びていっています。妊娠計画を遅らせ、実際は思ったほど簡単に妊娠することができないのだと、後になってから気づく女性が増えているのが原因です。
パートナーはいないが年齢の関係で今すぐに子どもが欲しい、という女性たちは精子提供に頼ります。しかしそんな女性たちが増えているため待機期間が長引いてしまい、さらに妊娠が遅れるという悪循環が起こっているのです。
18ヶ月→8週間
不妊治療病院IVF Australiaの教授Michael Chapman氏によると、1年前、精子提供者を待つオーストラリアの女性たちの待機期間は最長で18ヶ月であったとのこと。それがなんと、今では最長8週間となっているのです。
その理由は、海外の病院からの供給状況が改善したことと、なんといっても、地元のゲイのコミュニティへの精子提供を呼びかける運動のおかげだそうです。
オーストラリアでは法律で、男性が精子提供をする際には「生まれてきた子どもは、18歳になったら父親(精子提供者)にコンタクトを取ってもよい」という条件に同意しなければならないと決められています。
ゲイではない男性の場合、精子提供をして生まれた子どもが18歳になる頃には、自分自身の家庭を持っているであろうということ、そこにその子どもがコンタクトを取るとトラブルになりかねないことなどが予想され、精子提供をためらうケースが多いとのこと。
しかし、ゲイの男性であればそのような心配が少ないであろうということで、今回IVF Australiaは地元のゲイのコミュニティをターゲットとしたのです。
この運動の代表を務めたScott McKeown氏はこう語っています。彼自身もゲイの1人です。
こう考えてみよう。ゲイの男性が、年をとって、精子提供をして生まれた子どもに自分の面影を見る。自分の苗字は受け継がれないが、遺伝子は間違いなく受け継がれている。ちょっといいものじゃないか?
手遅れになる前に
Queensland Fertility Groupの医師David Molloy氏は、妊娠計画を遅らせて後悔する女性が増えているこの現状について、
どうやら世の中には、「不妊治療病院へ行きさえすれば、年をとっているという問題もどうにかなる」という誤解があるようだ。もちろん、我々にはどうにもできない。
とはっきり述べた上で、
妊娠確率は35歳頃から下がり始め、39~40歳でさらに劇的に下がる。もちろん我々はそのような年代の女性の手助けも行うが、成功確率は低く、年齢に対する根本的な治療方法はない。
と、手遅れになる前に妊娠計画をしっかり立てることを強く推奨しています。何事も、早めの計画が大切だということですね。仕事に力を入れている女性も、ちょっと一息ついて妊娠について考えてみるといいかもしれません。

IVF Australia
http://ivf.com.au/Gay community helps ease sperm shortage for aspiring mothers
http://www.smh.com.au/national/health/gay-community-helps-ease-sperm-shortage-for-aspiring-mothers-20120507-1y81e.html