有名人の成功事例はレアケース!?
Fertility and Sterilityオンライン版でエール大学生殖医療センターのPasquale Patrizio教授らが発表した論文により、多くの女性が出産を遅らせることが招く結果を正しく認識しておらず、さらに補助生殖医療技術が、老化した卵巣機能を元に戻すことができると誤解していることがわかりました。
米国補助生殖医療学会によると、35歳以下で体外受精を行った女性は2003年から2009年までの期間に9%増えましたが、同じ期間に41歳以上で体外受精サイクルを受けた女性は、なんと41%も増加しました。
論文によると42歳以上で体外受精し、妊娠にすることができたのは2009年の時点で9%、しかも妊娠した後も流産や先天異常、その他の合併症などに直面する可能性が高いということです。
しかしながら、生殖医療クリニックを受診する多くの40代の女性は、自分か健康で若々しいと考えている人が多く、メディアで有名人が40代で最先端の医療技術により出産したという、非常に稀な成功事例を見て、現在の医療があれば高齢での妊娠が可能であると誤解していることが非常に多い、と指摘しています。そして結局は妊娠できずに、気持ちが動転してしまう女性患者が、急増していることが危惧されています。
医療課題として社会全体での取り組みが必要
教授らは医療療関係者は年齢による不妊を防ぐことについて、もっと議論することが必要で、またそのためにも、病院では若い女性達に生殖能力は年齢と共に衰え、医療によって元に戻せるものではないと、すべての選択肢をしっかりと説明することが重要であると述べています。社会、経済、そして個人へのプレッシャーが女性が出産を後回しにする一因となっている可能性があるため、医者や医療関係者だけでなく、社会全体での取り組みが必要であり、年齢による不妊は医療課題として対応するべきだと主張しています。
確かに有名人の不妊手術の成功例は大々的に報道されるので勇気づけられますが、実際は非常に稀なケースなんですね。年齢を重ねるごとにリスクが増えていくのは現代医療を持ってしても阻止するのが難しいようなので、もう少し後でいいわ、と言わず1日でも早く妊活した方がよさそうですね!

Fertility and Sterility: A persistent misperception: assisted reproductive technology can reverse the “aged biological clock”
http://www.fertstert.org/article/S0015-0282(12)00229-4/abstract