排卵と脳神経の関係が始めて解明される
名古屋大大学院生命農学研究科の束村博子准教授らのグループは、女性ホルモンの一種であるエストロゲンが、脳に働きかけ排卵をうながす仕組みを、マウスを使った実験で明らかにし、2012年4月9日、米科学アカデミー紀要(電子版)に、発表をしました。
これまで、卵巣内で排卵間近に成長した卵胞が、大量のエストロゲンを放出し、脳前方で生殖活動に関わる神経細胞「キスペプチンニューロン」を活性化させることは分かっていましたが、そのメカニズムはわかっていませんでした。
不妊治療の改善につながる発見
束村博子准教授らは、排卵間近なマウス20匹と、そうでないマウス20匹の脳の中の変化を観察。すると、排卵の間近なマウスは、女性ホルモンのエストロゲンが分泌されると、脳の神経細胞に含まれる「ヒストン」と呼ばれる特殊なタンパク質が、活性化することがわかりました。
また、排卵間近のマウスは、そうでないマウスに比べて、活性化して変化した「ヒストン」の量が数十倍に増え、排卵を促すさまざまなホルモンの分泌量も増えていたそうです。
この実験を行った束村博子准教授は、
卵巣から分泌される女性ホルモンが直接脳に働きかけ排卵を促す仕組みを明らかにした。家畜や人における生殖障害の根本治療につながる成果と考えられる
とコメントをしています。

NHK NEWS WEB
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120410/k10014338251000.html名古屋大大学院生命農学研究科 生殖科学研究分野
http://web.me.com/uenoyama3/ReprodSciLab/Home.html