卵子の構成成分と女性不妊
2月18日、復旦大学(中国)の研究チームは、「Journal of Assisted Reproduction and Genetics」にて、卵子の透明帯成分ZP2タンパク質のホモ接合変異により、透明帯の異常および女性不妊が引き起こると発表した。
透明帯の役割とは
透明帯(ZP)とは、卵子を覆う透明で厚めの層であり、糖タンパク質4種(ZP1、ZP2、ZP3、ZP4)にて構成される。卵巣内にて卵子が発育していくうえで必要な栄養素を顆粒膜細胞から供給し、精子と卵子の受精時に精子が卵子内に侵入すると、透明帯を構成するタンパク質は硬くなり、多精子受精を防ぐ。
卵子の透明帯と女性不妊における関係性
研究チームは、透明帯が薄い家系であり、女性不妊である姉妹を対象に全エクソーム解析とサンガーシーケンス解析を行い、病原性変異体(病原性多様体)を特定した。
その後、特定された変異体に基づき、マウス、チャイニーズハムスターを用いた動物モデル実験を行ったところ、不妊状態のチャイニーズハムスターの卵巣由来細胞(CHO)においてZP2タンパク質のホモ接合バリアント(変型・変種)を検出した。
イムノブロット法(実験的に特定タンパク質を検出する手法)を通じて、ZP2タンパク質バリアントによってZP2タンパク質を切り捨てられ、チャイニーズハムスターの卵巣細胞におけるZP2タンパク質量を低下させることが認められた。
また、マウスの場合、タンパク質細胞内局在は影響を受けなかったが、ZP2タンパク質バリアントのタンパク質量は低下し、病原性変異体はZP2とZP3における相互作用を妨げた。その結果、透明帯を構成する糖たんぱく質の結合は崩れ、透明帯が薄くなり、女性不妊を引き起こすという。
(画像はSpringerより)

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