子宮内膜症とQOL
モナッシュ大学(オーストリア)の研究チームは、「Human Reproduction」にて、子宮内膜症の自己管理・セルフマネジメントにおいて、自己効力感は管理ファクターとなり、自己効力感が大きいほど、身体的・精神的健康におけるQOL(Quality Of Life:クオリティーオブライフ/生活の質)が向上すると発表した。
自己効力感(セルフ・エフィカシー)とは、自分が置かれた状況下にて、結果を生み出すために適切な行動を遂行できる確信・信念・自信の程度であり、自己の可能性、効力予期を認知している状態を意味する。
子宮内膜症を患う女性のQOLと自己効力感における関係性
概して、子宮内膜症を患う女性は、QOLが損なわれる傾向にある。今回、研究チームは、オーストリア人女性620人を対象にオンラインにて横断的調査を実施し、一般的な女性と子宮内膜症を患う女性のQOLにおける差異を調査した。
QOLはSF-36v2スタンダード版(振り返り期間が過去1ヶ月)に基づき、測定された。SF-36は、健康関連QOL(HRQOL)を測定するうえで、科学的で信頼性・妥当性をもつ尺度となる。また、自己管理因子には自己効力感・パートナーの健康・セルフケアパフォーマンス、治療アプローチはホルモン療法、鎮痛剤、補完医療が含まれる。
自己管理因子および治療因子がQOLに与える影響を分析したところ、子宮内膜症の女性は、一般的なオーストリア人女性と比べて身体的・精神的健康におけるQOLが低いことが認められた。身体的健康のQOLは収入、自己効力感と正の関係にあったが、一方、年齢、痛みの程度、薬物治療、慢性疾患管理、セルフケアとは負の関係となった。
特に、自己効力感は、身体的・精神的健康におけるQOLに大きく関連した。それゆえ、研究チームは、子宮内膜症の女性をサポートするうえで、構造化された慢性疾患管理プログラムを通じて自己効力感を向上させることにより、子宮内膜症の女性のQOLを改善できると考える。
(画像はHuman Reproductionより)

Human Reproduction
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