ヨーロッパにおける出生前スクリーニング
マサチューセッツ総合病院は、「European Journal of Human Genetics」にて、ヨーロッパ諸国において、非侵襲的出生前スクリーニング(NIPS)により、ダウン症候群の出生数が毎年、平均54%低下していると発表した。
一方、2016年に発表された研究論文によると、アメリカでは、妊娠中絶によって、1年あたりのダウン症候群の出生数が33%以下であるという。
非侵襲的出生前スクリーニングとは
新たなスクリーニング検査では、妊娠初期の段階、妊娠9週にて胎児の染色体異常の可能性を検出可能となり、検査結果次第によっては、その後、詳細な遺伝子検査を選択できる。
アメリカでは2011年に導入されたが、現在、ヨーロッパ諸国の国民医療制度において、非侵襲的出生前スクリーニングは、多くがまだ保険適用外であるという。
非侵襲的出生前スクリーニングとダウン症児数
調査を始めるにあたり、研究チームは、3年に亘って複数のレジストリおよびデータベースから、ヨーロッパ各国におけるダウン症候群の出生数、ダウン症児数を推測した。データギャップがある国では、統計モデリングを採用して数値を推測したゆえ、データ精度は高いという。
非侵襲的出生前スクリーニングが幅広く普及する前のダウン症候群の出生数および妊娠中絶数をベースラインにし、新たなスクリーニング検査の普及前後を比較したところ、スクリーニング検査の普及に伴い、ダウン症候群の出生数が低下していることが認められた。
研究チームは、今後、各国の政府、ダウン症協会と協力し、出生前スクリーニング検査を導入するうえで思慮深いアプローチにおけるベストプラクティスを共有していきたいと考える。
(画像はMASSACHUSETTS GENERAL HOSPITALより)

MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL
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